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赤崎まき子氏
株式会社エイ・ワークス代表取締役関西学院大学卒業後、1991年に株式会社エイ・ワークスを設立。総務省東海総合通信局「ユビキタスまちづくりに向けたICT利活用検討会」委員、経済産業省「産業遺産活用委員会」委員などを歴任。現在、中部圏インバウンドセールスプロジェクト事務局長、公益財団法人名古屋観光コンベンションビューロー理事、名古屋市交通まちづくり推進協議会委員など。
交通まちづくりトップ > 交通まちづくりコラム > 【第4回】訪れてみたくなるまちなごやを目指して
赤崎氏 私は兵庫県出身ですが、初めて久屋大通を見たときには、札幌の大通公園にそっくり!という感想をもちました。当時は高い建物も少なくて道幅が広いため、空が広々と見えましたし、碁盤の目になった都心の街区と幹線道路の幅の広さからは、城下町の歴史と戦後のしっかりした都市計画を感じました。
一方で、歩行者、特に高齢者にとっては100m道路(若宮大通)などの広さは、きっとすごく不便。広い道路を横断するために2ヶ所に別れた横断歩道を渡らなければならないのに、1度の青信号で両方の横断歩道を渡り切るのは難しいですから。
また、地下街が迷路のように複雑で、自分がどこにいるのか分からなくなってしまいます。でも、名古屋の夏は暑く冬は寒いですし、地上には回遊できる魅力的なエリアが少ないので、できる限り地下を歩きたくなるまちだと思いましたね。
赤崎氏 例えば伊勢神宮の周辺は、おはらい町やおかげ横丁と一体となって、魅力的な門前町になっています。まちにテーマ性や物語性があって、訪れた人がそれを体感できる仕掛けや、歩いて巡りたくなるような回遊性があることが大切です。名古屋の観光地や名所は点在しているので、車で回るにはいいですけれど、ブラブラ歩きながら楽しめる“ゾーン”が少ないのが、観光・集客でネックになっているように感じています。
赤崎氏 観光の視点からは、「見る」、「食べる」、「体験する」、「泊まる」、「買う」などの要素がキーワードとなりますが、これらの要素を取り入れながら、時間消費できるゾーンを創出することが必要だと考えています。 仕事で外国人にヒアリングする機会があり、国ごとに観光のニーズや関心は異なるとはいえ、名古屋でどこが一番面白かったか訊ねると、多くの人が大須と答えます。昔ながらの大須観音もあれば、ブランド商品から無国籍なテイストまでさまざまな店があり、サブカルチャー系やグルメも豊富なのが大須のまち。おもちゃ箱をひっくり返したようなこの「ごちゃごちゃ感」を、探索しながら楽しんで歩くのが大きな魅力のようです。 |
赤崎氏 人が主体となるまちづくりは、都市計画にとって大切な観点だと思います。みちのあり方を変え、緑を増やし、休憩したり楽しんだりしながらブラブラ歩ける空間を増やすことで、地域の魅力向上にもつながるからです。ただし、そのようなまちづくりを進めていけば、結果的にはクルマでの移動が不便になることも考えられます。クルマに替わる安全で利便性の高い交通手段やしくみの整備、クルマを利用した物流のシステムもしっかり考え、提示していくことが大切でしょう。そのため、まちづくりと交通を一緒に考える必要があるのです。
赤崎氏 まちづくりを進める上での前提は、まず安心・安全であること。治安や防災面などのベースとなる部分にきちんと対応した上で、地域の魅力向上に取り組むことになるでしょう。また、ハード面での整備だけでなくソフト面の強化には、テーマ性のあるまちづくりを進めていくのがよいのでは。例えば、名古屋駅から産業技術記念館やノリタケの森付近までの地域を、赤レンガの建物や石畳など明治の雰囲気が感じられる要素で統一して再整備すれば、ものづくりの街の歴史を生かした素敵なエリアになると思います。また、尾張徳川の武家文化を活かして、着物姿で歩けるまちづくりを進めるのも面白いのではないでしょうか。
〜趣味は渓流釣り〜 |