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交通まちづくりとは、「まちづくりを支える交通」「交通が変えるまちづくり」の
両方の視点から“魅力的で活力ある都市・なごや”を目指すものです。

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【第3回】子どもと楽しめるまちづくり

村山顕人氏

村山顕人氏 
名古屋大学准教授
 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻博士課程修了後、東京大学国際都市再生研究センター研究拠点形成特任研究員、名古屋大学助教授を経て2007年4月より名古屋大学准教授(大学院環境学研究科都市環境学専攻)。
 名古屋市都市計画審議会専門委員(名古屋市都市計画マスタープランに関する調査)、中川運河再生検討委員会委員、北名古屋市鉄道沿線まちづくり検討会副会長などを歴任。現在、鈴鹿市都市計画審議会会長、名古屋市交通まちづくり推進協議会委員など。

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――― 名古屋の第一印象を教えてください。

村山氏 土地区画整理事業が広範囲に実施された名古屋は「都市計画の優等生」と言われますが、実際に来てみると、北米の都市のように道路の幅員が広く、都心部及び郊外部に大規模な公園緑地があり、東京や大阪とは違う、ゆったりとした都市だという印象を受けました。首都圏と比べて名古屋は、こうした都市基盤の整備状況に加え、通勤時間や住宅価格を考えても、生活の質が高いと思います。例えば、家計主の通勤時間別割合(2008年)を見ると、関東大都市圏では1時間以上が31.6%、30分未満が32.2%なのに対し、中京大都市圏では1時間以上が11.7%、30分未満が54.7%となっています。通勤時間が少なければそれだけ仕事や余暇の時間、家族との時間を増やすことができます。私は妻と子ども2人と一緒に「駅そば生活圏」の集合住宅に住んでいますが、平日は徒歩、自転車、地下鉄で移動、休日は必要に応じて自動車を使用します。公園緑地も多く、子育てしやすい環境ですね。

 
――― 子どもたちにもやさしいまちにするためには、どのようなことが必要だと思いますか。

南大津通の歩行者天国の様子

村山氏 まず毎日の生活では安全な通学路の確保が必要だと思います。長男が小1になってから、歩道のない住宅地内の自動車のスピード、コンビニエンスストアの駐車場の配置、人の気配がない住宅地が気になります。次に休日の話です。小さい子どもを連れて買い物に行くのはそれなりに大変で、自動車に乗って大規模ショッピングセンターに行こうというインセンティブが働きます。個人的にはショッピングセンターよりも都心部の商業地を好むのですが(と言うか、買い物はそもそも苦手で自分の買い物でないときは子どもと待つ役目なのですが)、都心部の商業地は人の多さの割には歩道が狭く、子どもが退屈せずに遊べる公園もありません。久屋大通公園は、もう少し広々としたシンプルな公園に改修できないものでしょうか。南大津通りの歩行者天国は、小さい子どもを持つ親にとって大変嬉しい環境です。

――― 村山氏が取り組んでいる都心部のまちづくり活動では、子どもと一緒に楽しめるような点はありますか。

ストリートウッドデッキ

村山氏 私は2008年頃から、錦二丁目長者町のまちづくり活動に参加しています。休日に行われるイベントやまちづくり活動には子どもを連れて行くことがあるのですが、最近取り組んでいる都市の木質化プロジェクトも、子どもと一緒に楽しんでいます。地域の森林を健全な状態にし、森林管理を応援するために、地域の森林から切り出した木材を都市の中で積極的に活用しようという取り組みです。現在は名古屋センタービル敷地内に設置されている「ストリートウッドデッキ」はその第1号で、公園がない錦二丁目長者町に小さな公共空間を提供しています。私も仲間に入れて頂いているナゴヤ・ピクニッククラブというサークルで、休日の午後に家族連れでピクニックをしたこともあります。また、あいちトリエンナーレ2013に合わせて来街者のための「おもてなしベンチ」を制作した際には、町内会長さんから長男に金槌が手渡され、少しだけお手伝いをしました。名古屋の都心部の立派なみちを「みんなの庭」のようにできれば、子ども達も安心して楽しむことができそうです。

 
――― みちの活用について、ほかにはどのようなものが考えられますか。

村山氏 自動車や歩行者だけでなく、自転車、シニアカー(高齢者向けの電動車両)、気軽に乗れるバスや路面電車、それから次世代型の乗り物がうまく共存するみちとみちのネットワークがほしいですね。長距離に渡って自転車レーンが整備され、それに沿って街路樹があれば、自転車で気持ち良く通勤・通学できます。住宅地内では、子ども達が安心して自転車を乗り回せるみち、自動車が入らない路地のような空間がほしいですね。都心部では、実は私は地下街が苦手なので、新鮮な空気と緑がある地上でまちの風景を楽しみながら移動できる環境ができると良いと思っています。

  
――― 最後に、名古屋の強みを教えてください。

村山氏 2027年に予定されているリニア中央新幹線の開通により、名古屋に外からの観光客が増えるのは大歓迎で、満足して頂ける街をつくることは重要だと思います。一方、最初に触れましたが、名古屋の生活の質の高さは強みであり、これをさらに強化し、積極的にアピールしていくことが大切です。外国の企業が日本に進出する際、あるいは、日本で新しい企業を立ち上げる際、どの都市にオフィスを立地させるかを考えますが、優れた人材の確保や従業員の生活の質の保証を考えれば、業種によっては、交通利便性の高さや既存の企業集積のみならず、従業員とその家族が快適に生活できる都市を選択すると思います。モビリティ(移動)、住宅のアフォーダビリティ(住宅を購入する人にとって、住宅の規模や価格が適正であること)、国際的に通用するような子どもの教育、緑・水などの環境、文化芸術が総合的に優れている名古屋を強化し、その強みを積極的にアピールすることにより、人々から「選ばれる名古屋」になると思います。



マウンテンバイク  〜趣味は街乗り自転車〜
 子どものときから自転車に乗るのが好きでしたが、経済的な余裕がなかった大学院時代、都市計画を勉強しながらいろいろな街に足を運ぶために、頑丈なマウンテンバイクにスリックタイヤを履かせて乗っていました。それまで地下鉄を使って行っていたところが予想以上に近かったり、微妙な地形が体感できたり、様々な発見がありました。
 地下鉄と自動車が便利な名古屋に来てから、この自転車が出動する回数がだいぶ減ってしまいましたが、1年ほど前から、運動不足解消と気分転換のために、劣化していたワイヤ類を取り替え、走っています。名古屋の道路を走る車のスピードは速いので、安全な自転車レーンのネットワークがほしいです。







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担当部署:名古屋市住宅都市局都市計画部交通企画課 〒460-8508 愛知県名古屋市中区三の丸三丁目1番1号
電話番号:052-972-2724 ファックス番号:052-972-4170 電子メールアドレス a2724@jutakutoshi.city.nagoya.lg.jp

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